こういう男が女に利用されやすいんだ！

もっとロングで見ろよ！



「星路って変わってるよ。可愛い女って絶対疑ってかかるんだもんな」

拓也が、机に頬づえをつきながら苦笑いしている。



変わってる？
何を言うんだ、拓也。

危機感を持てば、自然とそういう知識が身につくものだ。

お前らに危機感が無いだけの話だぞ？


「可愛い女ってのは、必ず裏があるんだ。煮込んだら大量のアクが溢れ出すんだ」
「…何を煮込むんだよ」
「容姿で男をおびき寄せ、あれやこれやとしている内に、預金通帳の残高がゼロになるんだ」
「経験者みたいな口調だな…」



ある意味、俺は経験者みたいなものだろう。
美月を見ているからな。


「奴らの愛は、通帳残高に比例している。業界用語ではロストラブの法則と言い、それを表すグラフをロストゲージと言う」
「どこの業界だよ？」
「俺が作った」
「自己設立っ？！」


拓也と雅治は顔を見合わせ爆笑している。

何がおかしいんだ！
俺が懸命に伝えようとしているってのに、爆笑かよっ！



「笑ってる場合かっ！そんな余裕かましてる状況じゃないだろ！！」