爆走姉貴ー星路の苦悩ー

「美月!お前マジでいい加減に…」
「もういいよ!星路くん!」


え?



「いいから……星路くん。もうお姉さんと喧嘩しないで」
「美鈴…」



美鈴は泣き出しそうな顔で、ビルダーに押さえられたままの俺を見つめている。



「私が…バイトしてたから……それが全部悪いの。だからもう喧嘩しないで」



両手で顔を覆い、肩を震わせる美鈴。


その姿に、胸がズキンと痛んだ。





違うよ、美鈴…。

お前が悪いんじゃない。
お前が泣く必要なんかないだろ。


確かにバイトしてたのには驚いたよ。
でも、お前が悪い訳じゃないだろ?





「美鈴…そんな…自分が全部悪いなんて言うなよ」

「そうだよ、美鈴ちゃん…」



泣き出した美鈴の肩に優しく手を添え、語りかける美月。



「美鈴ちゃんが悪いなんて、誰も思ってないよ」



……美月?



「だから泣かなくていいんだよ…」




何…?
美月……美鈴を慰めてくれているのか?


そんな暇があるなら、早く俺をビルダーから解放してくれ…とも思うが……美月が美鈴を慰めてくれている方が思考を上回っていた。



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