恋の音はすぐそばに

「先輩!何かあったなら隠さないで下さい!子どもじゃないんですから、相談に乗ることくらい出来ます!」


そうだ、何も知らない子どもじゃない。


紫緒先輩や心羽みたいに頭はよくないけど、話を聞くくらいはできる。


溜め込むくらいなら吐き出してほしい。


そう、思って言ったのに…まさかの内容に私は青ざめるしかなかった。


「…菜緒…先輩が…?」


「…ああ、今日が峠らしい」


なんで?


傷だって…だんだん完治してきていたのにっ。


「頭を強く打ってたんだ。だからっ」


「私がっ!!私がボーッとしてたから…っ」


紫緒先輩は隠してるようだけど私知ってるよ?


菜緒先輩…私が頭を打たないように守ってくれたんだって。


そのせいで自分が犠牲になるってわかっていた上で。


「違うっ!!!!」


「…紫緒先輩?」


違うって何が?


その言葉の意味も、いつも冷静な紫緒先輩が叫んだ意味も。


私には何一つわからない。