「出来ない、じゃなくてしないだけでしょうしおりは」
お父さんの隣に座ってニコニコしていたお母さんが口を開く。
そして、だから常日頃からたまには料理もしてみさいって言ってたじゃないの、と続けた。
(ぅ…そこに関してはぐうの音も出ませんお母様…!)
つけが回ってくる、とはこの事であろう。
「まぁでも、しおりがそういうと思ってもうお願いをしてあるのよ、ねぇお父さん」
「あぁ、あっちも快諾してくれたし、これなら安心して旅行を満喫出来るな♪」
いつになく浮かれている様子の父親に対して私の頭の上にはハテナが浮かんでいた。
(お願いって、誰に何を…?)