「にか。ごめん。私が言わなきゃ…」
「いや、かなは悪く無いよ!かなが言わなくたって後からどうせわかったはずだよ。あの子とこうたが結ばれれば…」
「そんな事あるわけないでしょ?!にかは、こうたくんとキスまでしてるんだから!にかが付き合うに決まってる!」
あの後から明らかに落ち込んでいる私にかなは必死に声をかける。
そんな私の脳みそでは、さっきの映像が繰り返し流れる。
「キス…??」
「あっ、いや、、」
聞き慣れた声が行き交った。
「けん…」
今にも泣きそうな私の目を見てけんは私を抱き寄せた
「え?」
「にか。がんばれ。俺はこんな事しか出来ないけど、応援することしか出来ないけど、でも俺はもう、にかの悲しむ顔は見たく無いよ。」
抱きしめる手を緩めたけんと目があった。
…
声が出なかった。
私は何をしてるんだろう
どうして、大切な友達をこんなに悲しい顔にさせないと
気づかなかったんだろう
けんの顔も今にも泣きそうで。
私はただ、もう私の元から離れられるときの感覚を
味わいたく無かっただけ
こうたからの気持ちが転がってくるように
下手に好きだって思ってただけだったんだよな
好きって言えば、壊れちゃうんじゃ無いか
こうたからの告白をずっと待ってただけだった。
弱い自分…
…
涙がこぼれた
「けん…ごめんね…」
溢れ出す涙を抑えきれず顔を抑え込む
「にか。がんばれ…」
そう言ってまたけんは、
私を抱きしめてくれた。
冷えた私の心をあっためるように
けんの体は私を包み込んでくれた。

