こうたはそんな事何も気にしていないかのように
私の元へ来て
「つかれた〜」
と言ってきた。
こうたはきっと鈍感だから
気づいてないんだろうな
こうたの事があの子は好きなんだよ
言えないんだ。私には
あんなにこうたの事を思っている子がいるのに
目の前にいるのに
私は言えないんだよ
こうたが幸せになる事だけを
今の私は思ってやれない。
「にか！お願い！」
写真を撮りたいと言っていた友達が私の背中でそうささやく。
あ、そうだった。
今の私には言葉を発する事さえも力が必要だった
「あ、あのね、こうた。あ、あの人！あの人とこの子が写真撮りたいらしいんだ。呼んできて貰えるかな？？」
言葉を振り絞るように。
「あーいいよ、まってて。」
そう言ったこうたはささっとその人の元へ行き
うなずくその人はこっちへ向かってきた。
でも、
こうたはこなかった。
当たり前か。
一緒にいたわけでも無いのに。
でも戻ってきてくれるんじゃ無いかなって思ってたんだよな
まだ、私、ありがとうって言ってないじゃん
私のことはもういいのかな
こうたは今、あの子の事考えてるんだろうな…
私よりもはるかに可愛くて、女の子らしくて、守りたくなるような子。
私とは程遠い…
いつもならこんなこと考えたことも無かったのに
ネガティヴな思考がその後もは止まらなかった。
