繋いだままの手を離すことなく会話し続けるのには少し無理があって、
「・・・」
帰らなきゃいけないのに、
手を離したくなくて
でもこうたは帰りたいと思ってるかもしれないし
手だってほんとは離したいかもしれない
そんなこと考えてたらわたしは黙っちゃって。
なぜかこうたも黙ってる
どうしよう
手、離したくないよ…
帰らなきゃいけないのに。
「一つ言っていい?」
突然そういったこうた。
「え?なに?」
なにを言い出すんだろうと思った
「さりげなく手繋ぎすぎてさ、今おれ心臓バクバク。」
え?
こうたが?
私と手を繋いだだけで?
なにそれ。
そんなの言われたら
わたしだってバクバクなるっつーの。
ばかじゃないのほんと。
期待しちゃうじゃん。
「はいはい。」
今は思いを誤魔化しに、恥ずかしさを笑いに変えることしかできないの。

