昨日、決まった
俺の急な転勤話。

しかも国内ではなく、海外だと。

カバンの中から急いでケータイを探す。


そして大好きな彼女に電話をかけた。




彼女は俺のためを思って
断らないで、行っておいで。と
優しい声で俺の背中を柔らかく押した。



空港まで一緒にきてくれると。

当たり前になった俺の隣。
右側に並んだ君が空港に着くなり、
カバンの中をゴソゴソと何かを探しだした。


「ねぇ、ケンケン。ずっと忘れないように似顔描いてよ。」

まるで二度と会えない別れみたいに言うのは君の方で。

「ねぇー、ねぇー描いてよ。」

と最初はふざけていたけど
ほのかの目には涙が溜まっていた。

俯いたまま、動けなくなってしまっていた。