Beast man

えーと、じゅうじんだから…し……さ行のとこを探すかな。
「さ、さ、さ………」
さ行の本がある本棚は…。

「あれ?夜霧くん?」
聞き覚えのある声が後ろからした。

「さ、さ、?堺さんっ!?」

後ろを振り返るとなんと!!
さ、さ、ばっか言ってたからか分からないが、僕の想い人、境 詩音と遭遇してしまった!!

「どしたの?さっさっばっか言って。私の事でも呼んでた?なんちゃって」

ひゃー!!え、今、僕は境さんと会話してる!?
心臓やべぇえぇえぇえ!!!!めっちゃ早いスピードでバックんドックんいってやがる!!少し黙ってー僕の心臓ー!!

「へいっ!?いや、獣人の本を探してただけだよよよ!?」

うわ、緊張して上手く喋れねぇえ!!

「獣人…?ちょうど、私も獣人の本探してたの。奇遇ね」
ニコッと微笑んだ。
くそかわええなおい。嫁にしてぇえ。

「お、おぉ!!そっか!!境さんもか!!」

うわうわ。めっちゃ緊張する。学校以外で境さん見たの初めてだし…。てかなんかソワソワする。

「あっ、あったあった。『サルでも分かる獣人のお話』!!」

しばらくして境さんがその本を手に取って言った。なんだ『サルでも分かる』って。
すげぇ題名だな。

「はい。夜霧くん」

境さんの手にあった本は僕の手に移動していた。

「え、でもこの本、境さんが見つけた本…」

「いいのいいの!!」

微笑んで、顔を横に振った境さんは女神にしか見えなかった。

「あ、ありがと!!」

「うんっ」

うぉぉ!!!!亮!!感謝するぜ!!お前のおかげで境さんに会えたぞ!!!!会話もできたぞ!!!!

「しおーんっ!いつまで本探してるの?って…夜霧?」

はふっ!?
横から、境さんの名を呼んだ人物、東雲 紗綾が現れやがった。

「詩音、なんしてた?夜霧と二人っきりで」

変な誤解を招くような言い方するなよ!!嫌味かよっ!!