泣くつもりなんてなかったのに、信頼できる人の顔を見たとき、つい涙腺が緩んでしまうこと。



「私にできること、ない?」



「ありがとう雪ちゃん。こうやって会ってくれるだけで、すごく助かる」



いまの生活がすごく辛いわけではない。



黒崎さんがすごく嫌いなわけでもない。



なんでだろう。



今の生活は本当に楽なのに、仕事をしているときの方が生きがいを感じていた。



「今は頑張りどきなんだよね」



そう思ってないと、投げ出してしまいそうだ。