「聞きたいのはそれだけ?」



立ち上がった黒崎さんが、私を冷たく見下ろした。



どうしてそんなに、あっさりしていられるの?



私は黒崎さんを見つめたまま、視線を逸らせずにいた。



「…分からない」



少し声が震えた。



だけど、ここで「はいそうですか」と引き下がれるような気持ちではない。



「…なに?」



黒崎さんが口元の笑みを消して私を見る。



「分からないよ…」



身長なんてまったく足りないけど、できるだけ黒崎さんを近くで見れるよう、私も立ち上がった。



零れそうになる涙を堪えて、言葉を絞り出す。