「ないないないないない!!!」



「…っうるさい…」



年も明け、年始の忙しさもおさまった1月の半ば。



黒崎さんが人の部屋でお餅をもちゃもちゃ食べてるのを見て、自分の気持ちを否定しようと首を振る私。



黒崎さんはそんな私に眉をひそめている。



1月の給料は12月より何倍も多く、2月で全て返済しきるのは確実だった。



申し訳ないほどの金額をもらい、まさかこんな短期間で返しきることができるなんて夢みたいだと思う。



だけどどこかで、返し切ってしまいたくないと思う自分がいる。



それはあのとき、一瞬でも想った気持ちにあるのだろう。



(だけど相手は黒崎さん…人の部屋でお餅を偉そうに食べてる黒崎さん…)