借金取りと私の関係【完】

強く握られて、一瞬だけドキッとする。



そんな私を知ってかしらずか、黒崎さんが私を見てニコリと微笑んだ。



「…っ」



王子様、という響きが似合ってしまうようなその微笑みに、見惚れてしまっていた。



そしてそのまま、黒崎さんに引っ張られるがまま会場に戻る。



さっきよりも人が集まり、キラキラと輝くたくさんのドレス。



私服だったらどれだけ浮いてたことか、今更になって震えた。



「え?あれ、誰?」



黒崎さんに集まる視線と、私に注がれる言葉。



罵倒を待っていた私の耳には、まったく予想していなかった言葉が聞こえた。