僕は血の繋がった両親にここまで育ててもらって、血のつながりなんて意識したことがなかった。
それに、“養子”の親子が存在していることはもちろん知っていたし、わかっていた。
だけどそれを前にしないと実感なんかわかないもので。
態度を変える必要なんかないってわかってる。
でも、今まで何気なく話してきた両親の話は、悠太にとってあまり触れてほしくない話題だったのかな…。
「…玲くん……」
「はい…」
悲しみを帯びた低く優しい声が響いた。
「俺たちも行くね…。悠太の荷物とってこないとな…」
「あ……はい…」
なんと返していいか分からず出たのは相槌だった。
「それと。こんな形で悠太との関係を明かすことになって申し訳ない…。悠太が起きたら、ちゃんと俺から話すから…」
龍さんは麗華さんの肩を抱き、暗闇に埋もれていった。
僕は龍さんたちの背中を見つめ、いっとき動くことができなかった。
低く震えた声で悠太は起きるという希望の込められた言葉を放った龍さんは、初めて会ったときより背中が小さく見えた。
「………僕も行かなきゃ…」
おぼつかない足取りで家へ向かった。


