「………ゆう……た……お……にい……ちゃ……ん………」


涼太の声で意識が戻った。


気づいたら、堂島に馬乗りになっていた。


拳は血で汚れていて、堂島は顔が原型をとどめておらず、もう意識がなかった。


「っ涼太…!?……涼太は!?」


立ち上がり、涼太のもとへ駆け寄った。


「ずっとブツブツ言ってて、その後に叫んだと思ったら倒れてしまって…。」


蝶月の子が状況を説明してくれた。


「そうか…。」


意識を失っている涼太は、眉間にシワが寄っていた。


涼太は大丈夫だろうか…?


「おい!誰か救急車と警察を呼べ!」


宏樹が声を張り上げた。


「もうすでに呼んであります!」


それに梶原が答えた。


「さすがだ!ありがとな!」


遠くから救急車とパトカーの音が聞こえた。



なんか寒くなってきたな…。


徐々に瞼が重たくなってきた。



軽く目を閉じると、体の重心が崩れて、フラッとした。


倒れる覚悟で、更に強く目を瞑るが、痛みはない。