「悠太?髙野悠太のことでしょうか?」
顎に手を当て考えるポーズを取った梶原くんが聞いてきた。
「そうです」
「え!髙野くん!?
“あの”髙野くんなの!?」
“あの”?
あの炎龍と並ぶ人気のってことかな?
「そうだよ?
佐藤くんと仲がいい悠太くんだよ?」
「え!付き合ってんの!?」
あぁ…。そっか!
まだ報告してなかったんだ!
「ごめんね。報告するの忘れてた!
悠太くんと付き合ってるの!!」
「碧海。」
阿部くんが不意に梶原くんの名前を呼んだ。
私には何を言いたかったのかわからなかったけど、梶原くんにはわかったみたいで…。
「いえ、僕も知りませんでした。」
「そうか。ならいい。」
二言三言で会話が終了して、結局なんの話をしているかもわからなかった。
「じゃあ、山本さん。
気をつけて行動することを忘れないでくださいね。
登下校は髙野くんと一緒にしていただいて構いませんので。」
「はい。わかりました。」
そう言うと、阿部さんが今度は大﨑さんの名前を呼んだ。
「涼太。」
「なに?」
ニコニコと笑顔を浮かべている大﨑さん。
「髙野に言っとけ。
登下校は気をつけろと。」
大﨑さんと悠太くんは何か接点があるんだろうか…。
「わかったー!」


