「なぁ、山本!」 「?? 髙野くん?」 「お!悠太! どうしたんだ?」 山本や月斗の声を聞かずに、山本の手首を掴み、引っ張った。 「ねぇ!髙野くん!」 山本の声をひたすら無視して、早足で歩いた。 誰もいなさそうな校舎と校舎の間で足を止めた。 「ねぇ!髙野くんってば!」 山本が腕を思いっきり振ったが、男の俺の力には勝てず、握ったままだ。 腕を振り払おうとしたことにまた、もやもやが募って、頭の中が一杯になった。 感情のまま両手首を掴み、壁に押し付けた。