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時折、どうしようもなく訪れるメランコリー__寂寞にとうとう堪えられなくなりそうだ。
駄目、駄目なのに、全部言ってしまいたくなる。私に、そんなことは許されないのに。
身体が日を追うごとにおかしくなっていく。ついに、身体もリミッターを迎えているのだろうか。けれどその前に、やらなければならないことが、いくつもある。
まず、あの子を解放する。
自ら溺れる彼女。あんなのはいけない。何としても、私と共に作り上げた罪から、逃れさせなければ。
あの子を見れば分かる。もう、時間はない。私の周りは、私のせいでおかしくなっていく。狂っていく。
次に、憐れなあの子。
最近、彼に触れられるのがひどく怖い。
月の満ちた夜、月の欠けた夜、雲隠れの月の夜。__あらゆる夜を、私と彼は過ごしたけれど__それ以上の一線を越えてしまうかもしれない、という恐怖しかない。
彼を更生させることは私にはできるのだろうか。第一、私はまだ、溺れているというのに。だけどもう、倫理を犯し続けることに、お互い、押し潰されそうだった。
そして、彼。
私を包み込むような彼の優しさ。私を見る目はいつも甘くて、その視線を感じるたびに、自分が世間に大嘘をついている__否、罪人だという事実を突きつけれる。私に、優しい瞳を向けてもらえる権利などない。
彼になら触れられたい。
彼になら壊されたい。
彼になら食されたい。
彼になら侵されたい。
熱く滾ったような感情を向けられて、この上ない幸せを、享受したい。
表に出してはならない、私の欲望。でも、彼が傍にいるだけで馬鹿みたいに胸が高鳴って、容易に零れてしまいそう。
彼を忘れてしまおう。彼に忘れてもらおう。
だけど__…。
虚空にひらりと舞う蝶。
手を伸ばせば、掴めるだろうか。



