カモフラージュ


おじさんは、心配しなくても


《誰にも言わないから》と言って


事務所へ上がって行った。



千尋はトボトボと歩き出す。


知らない街なので、右も左も分からないけど


今、シュンの顔を見たくなかった。



大通りに出ると、商店街が見えたので


其処へ向かった。


何か目的があった訳でも


買い物がしたい訳でもなくて


ただ、人混みに紛れたかった。



特別なんかじゃない!


此処にいる人達から見れば


あたしはその他大勢の1人


シュンにとっても、特別じゃなかったんだぁ



1人で浮かれて


はしゃいで


ホント馬鹿みたいだね


あたし、何やってるんだろう



ドン!


バタッ!


こけてしまった。