千尋は何も言わずに部屋を出て


急いで靴を履き、とにかく走った。


大きな橋の所まで来て、座り込む。



驚き過ぎて、涙も出ない。


信じてたのに、裏切られたのに


悲しくなかった。



不倫の代償ってヤツですかぁ


キツイねぇ


覚悟なんて出来て無かったじゃん


偉そうに言ったのにね


馬鹿丸出し


ピエロって、この事?


此処から飛び込んだら死ねる?



その時


タッ!タッ!タッ!


誰かの足音が聞こえたので


急いで立ち上がった。


「千尋ちゃ~ん」


ヒデさんの声?


そっと近づくと、抱きしめてくれた。


「良かったー!いて」


「ごめんなさい。

       心配かけてぇぇぇ・・・」



その優しさが堪らなくて、涙が溢れた。