車に乗り込み、本屋さんに着くまで


2人とも、何も話さなかった。


言いたい事はたくさんあったけど


何も・・・



「ありがとう。

      あまり飲み過ぎないようにね!」


「ごめんね。

     千尋ちゃんも元気で!」



寂しそうな笑顔を


その姿を、この目に焼き付ける。


もう、会う事は無い。



   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆



真っ直ぐ家に帰る気がしなかった。


聖菜に電話すると


旦那さんの帰りは遅いらしい。


《抱きしめてあげるから、おいで》


その言葉が嬉しくて・・・



本当に、顔を見るなり抱きしめてくれた。


「泣かなかったんでしょ?

          可愛くないよ、そんなの!」



そうよ!


だから、聖菜の胸を借りに来たの!