恥ずかしいので、背中を向けてもらった。
「長くなるけど、良い?」
頷く彼。
「あたしね、父と母の愛情が分からなくて
自分を隠すようになったの。
楽しくもないのに笑って
嫌な事も我慢して、自分の気持ち抑えてた。
荒れた時期もあって、親に迷惑も掛けた。
でも、兄の前では素直でいられた。
だから、彼が出来ても
どうしても、兄と比べてしまって・・・
ちゃんと人を好きになれないから
別れても、辛くもないし悲しくもなかった!」
「うん」
「でも、ある人に言われたの。
《頑張り過ぎるなよ》って
《弱い自分を隠してる》って
《あたしの事、全部知ってる》って!
張り詰めてた糸が、音を立てて切れた。
そして、思いっきり泣けたの。
この仕事始めて、辛くても泣けなかった。
壊れたら、立ち直れない気がして・・・
食事に連れて行ってもらったり
ゴルフを教えてくれたり
とても大事な人で、尊敬してるけど
その人の前だと、緊張して上手く喋れない」
「可愛いね?」
彼が後ろを向いたのでドキッ!

