秋の風が、気持ち良くなって来た頃には


いつもの日常に戻っていた。


でも、母とのわだかまりは解けていないので


自分の部屋で過ごす事が多い。


やっぱり、紀香さんにも気を使ってしまう。


嫉妬とは違うと思うけど、兄を取られた感で


素直に受け入れる事が出来なかった。



仕事もやりがいを見つけられないし


何か起きないかなぁ・・・楽しい事!



その時


チャラ~!チャラ~!


カバンの中で携帯が鳴った。


見た事もない番号からの着信。


いつもなら無視だけど・・・



「もしもし」


聞いた事がある声。


「はい」


「千尋?俺、健一」


「ああ、お久しぶりです。

           元気ですか?」


「ちょっとお願いがあるんだけど・・・」


会って話がしたいと言うので


約束をして電話を切った。