無言で家に帰り、一息付く。



何も言わなかった母が


気持ちの整理をつけるように話始めた。


「雅紀、紀香さん、千尋

 悲しんでばかりいても

 お父さんは帰って来ないから・・・

 紀香さんの胎教にも良くないし」


『うん』


「みんなが泣いてるより、笑っている方が

   赤ちゃんもお父さんも安心するでしょ?」


『うん』


母は、3人の顔を順番に見て頷き


手で顔を覆った。


そして、もう一度泣いた。




父の死が痛かった!


いなくなる前に言ってよ!


言葉にしないと伝わらないよ!


不器用なのは、あたしも一緒!



何年ぶりに父の手を握っただろう


大きな手と優しく笑った顔


絶対忘れないよ!


ありがとう!


そして、ごめんなさい。。。



千尋は、泣きながら眠りについた。