キンモクセイ


コウキとサヤが乗ってきた次の駅に止まると


俺が座っている座席の横の扉から


息を切らした女の子が駆け込んできた。


それと同時に出発を知らせるブザーが鳴り、


ゆっくりと扉が閉まる。


俺の横で肩で息をしながら、


女の子は「間に合った」と独り言を呟いた。


フワッと漂ってきた匂いに


俺の鼓動がドクンと高鳴る。


どこか覚えのある甘い香りに


引き寄せられるように俺は横に目をやった。