キンモクセイ


2駅ほどゆったりと座っていると、


2駅目からは続々と人が乗ってくる。


最初は主にサラリーマン、


電車が進むにつれて学生もちらほらと見るようになってくる。


そのまばらに見える学生の中に、


いつも一緒に行っている


多賀 幸希(タガ コウキ)と、


斉藤 咲耶(サイトウ サヤ)がいる。


「おはよう、コウキ、サヤ。」

「おはようイッチー」


おっちゃんからはいっちゃんだったが、


学校でのあだ名は『イッチー』だ。


これももちろん、名前が壱哉だから。


いつもの挨拶を交わして、


コウキとサヤは俺の前に立った。