しばらくして、


扉が閉まりますというアナウンスが流れると


ゆっくりと扉が閉まった。


彼女は今日は来なかった。


ふと窓越しに横を見ると、


俺がいつも乗っている車両の隣、


3両目に見たことのある後ろ姿が見えた。


(あの子だ)


ドクンと胸が高鳴り、昨日の感覚を思い出す。


昨日の彼女の記憶は


ほぼあの甘い香りに占領されていたけれど


雰囲気ですぐにわかった。


俺が好きな、素朴な雰囲気。