「さっきの子、可愛かったなー……とか、思ってんだろ」 「はっ?!えっ、いや、別に……」 「わっかりやす」 コウキはケラケラ笑って俺の肩を叩いた。 別に、そんなんじゃなくて… ただ、彼女が放つ匂いに、 走ってきた上に夏という季節のせいで汗だくで 髪型も制服の着こなしもどこか垢抜けないのに どこからか感じる爽やかさに、 どことなく惹かれただけで… 「顔、そんなに見てねーし」 「イッチーまじで面食いだよね」 俺の言葉に、 サヤも眉を少し下げて笑った。