「なに帰ろうとしてんの。 まだ乗ってないの、あるけど?」 耳元で聞こえる甘い声に、一瞬にして身体が痺れる。 「え…でも、もうほとんど乗って、」 「行くよ」 「え、ちょ…っ、舜くん?」 瞬く間に恋人繋ぎにされた右手は、この寒さとは裏腹に少し温かかった。 しばらく歩き、見えてきたのは観覧車。 閉園間近で、人もあまり並んでいなかったためすぐに乗れた。 「いってらっしゃーい!」 係員さんの元気な声を聞いて、小さな密室は動き始めた。