「きゆ、ちゃんと食べてるか?

いきなり院長先生が入院になって、お前もたいへんだとは思うけど、でも、ちょっと痩せすぎだろ?
ちゃんと3食取らなきゃだめだぞ」


きゆは下を向いて微笑んだ。
瑛太は毎回言う事が同じだから。


「あ、それと、医師募集の広告見た?
役場のホームページのど真ん中に出してるやつ」



「見たよ~~

でも、誰も来ないよ、今までだって募集かけてたらしいもん。
中々、離島に来るお医者さんを見つけるのはたいへんだと思う。
お給料だって多くは出せないし、何にもないとこだしね…」


瑛太は白衣に身を包んだきゆをジッと見ていた。

…きゆがこの島にずっと留まるつもりなら、俺はきゆと結婚する。



「ま、院長先生が帰ってくるまでは、のんびり過ごせばいいよ。
俺はきゆがここに帰ってきてくれて、本当に嬉しいんだ。

きゆだけ隣の島の高校に行かないで、東京の方の看護科のある高校に行ったからさ、島の事嫌いになったのかと思ってたけど、そうじゃなかったんだよな。

何かあったらいつでも俺を呼んで。飛んでくるから」