「今日はその先にある保育園の先生達のための避難訓練。
最近は園児の数も少ないから、思いのほか早く終わったんだ」
瑛太は背が高くがっしりとした体つきで、いかにも消防隊員といったたくましさと包容力を身につけていた。
色黒で、短く刈りあげた髪は何故だか茶色に染めている。
目は大きいとは言えないが、いつも笑ってるような優しい眼差しを持っていた。
そして、たまに半袖になると、顔からは想像できないムキムキの筋肉に、いつも驚いてしまうきゆがいた。
瑛太はきゆの事が心配でしょうがなかった。
久しぶりに島に帰ってきたきゆを見て、瑛太は胸がときめく半面、少しだけショックも受けた。
きゆがあまりにも痩せていたから。
瑛太の知っているきゆは、ぽっちゃりした笑うと口元にえくぼができるふんわりとしたイメージの女の子だった。
柔らかいイメージは変わっていないが、見た目の細さにきっと何かがあったのだろうと大体の想像がつく。
瑛太の保護本能にスイッチが入ってしまったのは言うまでもなかった。



