12月7日

この日、母がお見舞いに来ていた。

この時は、私も母もいつもと変わらない一日になると思っていた。

あの電話がかかってくるまでは、、、。

『ヴーヴー』

母の携帯が鳴った。

「もしもし?、、はい、、はい」

母の顔色が少しずつ青ざめていく。

「えっ!?そんな嘘!?、、、はい、分かりました」

そう言うと、母は電話を切った。

「どうしたの?お母さん」

そう聞くと、母は涙を流した。

「お父さんが、、、お父さんが、、、」

「何があったの?」

「お父さんが、、、会社に行く途中で、交通事故に、、、搬送先の病院で、死亡が確認されたって、、、」

「えっ?」

今、何て言った?

お父さんが、死んだって言ったの?

「トラックと正面衝突して、、、うっ、、うっ、、、」

そう言って、母は泣き崩れた。

「それ、本当に、、お父さんなの?」

「えぇ」

私は、言葉を失った。

いきなりのことすぎて、受け止められなかった。

「嘘、、、お父さんが死んだらなんて、嘘。
何かの間違いだよ。そうでしょ?お母さん」

「私も何かの間違いって思いたい。
でも、これが現実なのよ」

母はまるで、自分に言い聞かせるかのように、呟いた。

「こんなの現実じゃない」

「りお、、、」

「こんな現実、消えてなくなればいいのに」

現実は、残酷だ。

悲しみ・苦しみ・辛さばっかりで、、、。

大人は皆、『成長するため』って言うけど、悲しみや苦しみで人は成長するの?

私には、分からない。


「お母さん、今から遺体確認に行ってくるから、りおは少し休みなさい」

そう言って、母は病室を後にした。

私は一人、布団にもぐり泣いた。