光吉は実験生活する場所にある
警察の留置所に一旦移され、事前
に決められた一軒家に連れて行か
れた。
 光吉の家の周りは住宅街で、民
家が立ち並び、住民が普通に生活
していたが、光吉がどんな人物か
は知らされていなかった。
 もっともこの頃の住民は近所付
き合いをしなくなり、隣に誰が引
越したか無関心だった。また、凶
悪事件が多発しているので、何が
起きても驚かなくなっていた。
「お前を24時間監視している。
少しでも不審な行動したら射殺す
るから覚えとけ」
 付き添った末安特命捜査官はそ
う言って立ち去った。

 ひとりで住むには広い家。
 家財道具は一通り揃っていた。
しかし、凶器になるような物はな
いので食事などは外で食べるか、
コンビニで買うか、出前を頼むし
かなかった。
 買い物はすべて特別に与えられ
たカードを利用し、現金は所持で
きない。
 カードを利用した時点で監視セ
ンターに情報がいき、何を買おう
としているかが分り、生活に必要
のない物、犯罪に利用できる物だ
と判断されると買えない。
 一度に使える金額も決まってい
るので、高価な物は買えなくなっ
ていた。