─翌日。昼休み。
「ふぁあ~なんか最近ダルいな‥。」
教師から用事を預かった秀はダラダラと目的の教室へと足を進めていた。
やってきたのは,特別教室のみのある校舎だ。
まだ昼休みにも関わらず,教科書を持った生徒がまばらに歩いていた。
秀は一番奥の資料室と呼ばれる教室に足を進めた。
持っていた鍵でドアを開けようとすると,何か様子がおかしい。
「え?開いてる?」
秀は恐る恐るドアを開けた。
中は少し狭い図書室のような感じだった。
「鍵いらなかったじゃん。えーっと,入って五番目の本棚‥と」
本棚を辿って行くと‥。
「おわッ!!」
なんと奥の机に女子生徒が座っていた。
人気のない部屋に気配の全くない女子生徒は一人で読書をしていた。
秀はついに「見てしまった」と思い我ながら間抜けな声をあげた。
すると‥‥。
「‥忘れたい過去があるだろ」
「え?」
女子生徒は突然秀に話しかけてきた。
だが視線は下を向いたまま,持っている本に向けられていた。
「なんだよ‥突然」
「五歳‥夕暮れ‥二人でボール遊びをしていた。」
「は?」
尚も女子生徒は話し続ける。
「‥車に跳ねられたのか,お前の放ったボールを追って‥。だがお前は逃げ出した。」
「!!」
