‥―




「奈~央v」

「夕。今日はバンドの日じゃなかったのか?」

「晴ちゃん,彼女と帰っちゃってさぁー。薄情な奴ー。」

「そう言ってやるな。普段はお前と一緒なんだから,たまには帰らせてやれ。」

放課後中庭。
奈央はベンチに座り,何やら書類を広げていた。


「奈央は何やってんの?」

「生徒会の書類の整理だ。会長がやる気ゼロだからな。ここだと落ち着いて出来る。」

「ふーん。ねぇ隣座って良い?」

「ああ。」


夕は奈央の隣に座ると,ポケットから煙草とライターを取り出し火をつけた。

「夕ι」

「大丈夫。今の時間先生来ないし,風向きこっちだから煙いかないでしょ?」

「全くι」

奈央はため息をつくと,書類をまた一枚めくる。

「どう?秀は。」

「‥まだ入ったばかりでなんとも言えないが,壱紀が傍にいるお陰で馴染みが早いように見える。心配していたが大丈夫みたいだ。」

「そうだねーvそれにイケメンだしね♪」

「関係ないだろうι」

「あるよー!」


「あー!!奈央ちゃんの浮気者ー!!」

突然背後から大声をあげて走ってきたのは京治だった。
二人は驚き振り返る。

「ったく,探したんだぜ奈央。部室も来ねーからどこ行ったかと思ったら,こんなとこに居やがるし。しかも夕とかよ。」

「いーじゃん。ちょっと話してただけだよねーv奈央v」

「ああ。京治こそ今日は帰るって言ってなかったか?」

「俺だって黄昏たい年頃なの!ほら,夕詰めろ!座れねーだろ!」

「ちょっと!狭くなるじゃん!」

京治が強引にベンチに座った。