蓮史さんの言葉に驚いた。

「てことは、紅さんのお父さんですか?」

「えぇ。私達具島家は代々頭の側近をやってます。」

すごいですね、と笑うと部屋にいる人達が一瞬固まった。
すると、病室のドアのすりガラスに影が写った。

ドアが開くと風が起こって私の体は何かに包まれた。

「...無事か。」
その声に私の脳は覚醒した。

私の愛しい彼。
「龍」

呟くと耳の辺りで返事をする龍。
龍の息が耳にかかって肌が粟立つ。

「またね、希。今度は本家に遊びに来てちょうだい?沢山ご飯を作って待ってるわ?あ、買い物にも行きましょ?」
杏さんが龍輝さんを連れて出て行くと氷希さんと蓮史さんもついて出ていく。