「龍、やっと見つけた?やったじゃん」
今度は体を捻って俺の方に向いていた。

「チッ」
座席を蹴りあげると、大人しく前に向き直る。

「龍様。着きました」
その声に俺は閉じていた目を開ける。

さぁ、坂上希を迎えにいく。
佐田組にも渡さねぇし、本家にも渡さねぇ。
コイツはもう俺のものだ。
ニヤリと口角を上げて車を降りる。

「坂上希を探せ。お前らが行ったら必ず抵抗するだろう。しかし手を出すな。手を出したら俺がお前らを沈ませんぞ」

繁華街には俺を見ようと人垣がてきていた。
先を歩く組員達のあとを追い女達を掻き分けていく。

上がる口角が止まらずに口を手で覆う。
でも笑いを収める術は俺にも分からない。