月丘くんが家を出たことがわかると、私はふぅ、とため息をついた。




――ふと、机の上をに目をやると私の携帯らしきものを見つけた。




「...んん、誰これ...??」

電源を入れると、とあるトークアプリにて、美里(みさと)さんという人と榊原(さかきばら)くん、という人から連絡がきていた。



"菜穂ぴょん大丈夫〜??月丘氏も昨日の飲みっぷり超心配してましたぞ?!
早く元気になるんだぞ〜!?"

と、美里さんから。


"海乃(うみの)先輩うざいんではやく元気になって出勤してください"

と、榊原くんから。



文面から見るに、美里という人は私と同期の女の人で、榊原くんというのは、きっと後輩かな...?



「わかん、ない......どうしよう...会社...?
美里さんの文面からするとおそらく月丘くんとは一緒の会社で、昨日は飲み会があったとか...?」




――明日からきっと出勤するべき会社。




「どうしよう...ッ!そうだ、悠ちゃんに相談しようとしてたんだ...」




そうしてそのトークアプリを立ち上げたのだが、どこにも岩井悠莉という名はなかった。



「...あ、れ...?」




先程月丘くんに睨まれた時と同じ感覚に陥る。




―――こわい


悠ちゃんと連絡がつかないのなら、ここには...


――私の知ってる人が月丘くんしかいないじゃないか。






「な、ななななんで...こんなことに....??!」