そんな彼の笑顔に癒され数秒――――

私は現実へと引き戻された。





「〜〜...!!」

サーッと自分の顔が蒼白になる感じがした。


私は何をしてるんだ...
大人になった月丘くんと、こんなのほほんとしている場合ではない。




っていや.....そんな.....こんな現実味ないことなんてありえない!!


わたしが、タイムリープ...する、なんて...




「と...っとりあえず悠ちゃんに連絡.....っ」


自分の周りを見渡すと、やはりここは知らない場所で。
ざわざわと胸が騒いだ。



不安な気持ちを抑えて、自分の携帯を探そうとした瞬間、がんっと鈍い音がした。


――おそらく、月丘くんが壁を叩いた音だ。




「......悠ちゃん、?」

ぎろり。



「ひっ」


鋭い眼光で月丘くんに見下ろされる。



「な、なに...」


「菜穂、おまえ...」




さっきのがウソだったように、ひどく優しげな、割れ物を扱うような目。











「やっぱ昨日呑みすぎたんだな!!」


「.........は?」



――――落胆。


突然怖い顔をするから、心臓がどきどきした。




「ま、今日はゆっくり休んどけよー?俺は仕事行ってくるな!!」



「う、ん...?いってらっしゃい...?」



「おー!」




な、なんだったんだろう...?