said颯真

親ものろけた海外旅行から帰ってきて数日。

教室の机で突っ伏する俺。

最近の俺の悩みは怜音が好きって言ってくれないこと。

「随分と贅沢な悩みをお持ちですねぇ」

大翼が隣の席に腰掛けて俺に向けて呆れ顔。

「怜音ちゃんなら好きって言って、って言うだけで思いっきり照れて言ってくれそうなのになぁ。見てみた―――いってぇ!」

ガンっとこいつの足を蹴ってやった。

見てみたいとか、許せない。

思いっきり照れてる顔も、笑ってる顔も全部俺だけのものだし、大翼にだって見せたくないから。