私にタイムレターを届けてくれてありがとう。
宛て先も書かずに出した手紙を見つけてくれて、ありがとう。
空色の手紙を書いてくれて、ありがとう。
タイムレターは、私に大切なことを教えてくれて、大切なことを思い出させてくれた。
葉山君に、もう一度会えるように導いてくれたのも、タイムレターだ。
そして、なにより私自身を変えてくれた。
引っ込み思案だった、あの頃の私からは考えられないくらい行動的になったし。
好きな人に好きって伝える勇気が持てた。
「……香澄」
葉山君に名前を呼ばれると、ドキッとしてしまう。
それは少女のような、ときめきと共に。
「葉山君、私と付き合ってください」
「それは、こっちの台詞」
葉山君に手を引かれ、赤いポストの陰に二人で身を隠したら。
見つめ合い、どちらともなく顔を近づけ、そっとキスを交わす。
「また、タイムレターを書こうかな」
「誰に宛てて?」
「ふふっ。あのね……」
___十年後の私達へ。
【完】



