「葉山君、ドキドキしてる」
「当たり前だろ。好きだって言ったり、こうして瀬戸川のこと強引に抱きしめたりしてるんだから」
葉山君に好きだと言われたから、気づいたわけじゃない。
郵便局の窓口で再会した時から。
ううん。
本当はもっと前からだ。
空色の手紙が届き、葉山君のことを思い出した時から。
心の中は葉山君でいっぱいになっていた。
美園と話している時も、瑞穂ちゃんに会いに行った時も、葉山君のことばかり考えてたの。
それは、やっぱり私は葉山君が好きだってことで。
「葉山君、私……」
「あ! 俺の気持ちばっか押し付けてるよな。瀬戸川が俺と同じ気持ちかどうかなんて分かんないのに。ごめん」
私を抱きしめていた腕を解き、パッと身体を離そうとした葉山君に、とっさに抱きついた私。
それは無意識で、自然な行動だった。
葉山君から私が離れたくなかったから。
「瀬戸川?」
「……同じ気持ちです」
ぎゅっと抱きしめ合えば、お互いの鼓動が重なり。
二人だけの優しい空気に包まれた。



