予想外の展開に、その場をサラッと流したくて。
私は何食わぬ顔で違う話題を葉山君にぶつけることを思いつき。


「あの、葉山君はいつも窓口に居た? 私いつも利用してるのに今日まで気づかなくて」

「あぁ。バイクで集配したり、たまに窓口やったり……。ぷっ」


私の質問に答えながら、葉山君は口元に左手を添え噴き出した。
そして「あからさまに話題変えんなよ」と誤魔化したことを指摘されてしまった。


「相変わらず、分かり易いなぁ」なんて優しい笑顔を向けたかと思うと、懐かしそうな表情に変わった葉山君は私の手から空色の手紙を抜き取った。

空色の手紙と桜色の手紙を持ち、目の前でヒラヒラとちらつかされた私は、葉山君の手から手紙を取り戻そうとピョンピョンとジャンプする。
その度に、葉山君は私をからかう様にワザと手元を上にあげた。

葉山君との身長差は二十センチ以上あるだろうから、そんな事をしても無駄なのに。


「ちょっと、葉山君からかわないで」

「からかってないよ。瀬戸川が質問に答えないからだろ? この手紙はなに?」

「……葉山君にも届いたでしょ? 中学卒業する時、記念に自分宛てに書いたタイムレターよ。私、そのタイムレターに返事を書いたの! そしたら、過去の私から返事が届いたの」