「柊ちゃん学校帰り!?お疲れ様!!」
柊ちゃんは、そんな私のねぎらいの言葉も無言の圧で突き返す。
「兄貴、電子辞書借りる。」
そう言って、隆の机の上にあった電子辞書を手のなかに収める。
「あ、あと。なんかイチャイチャしてたけど、それれっきとした浮気なんじゃね?キモいからやめれば。」
冷たい視線、低い声、少しも変わらない無表情。
そのまま部屋を出て行ってしまった。
「…浮気、じゃねーよな?」
「やめてよ。あんたとなんて彼氏でも嫌なのに、浮気なんてもっと嫌。ありえない。」
「俺もだよ!」
と、また喧嘩の始まりそうな雰囲気に陥る。
いつも隆とはこんなかんじで。
みのりも私と隆はすぐに喧嘩して、でも仲は良くて、兄弟みたいなもんで、お互い異性としての意識が全く無いって理解してくれているから頭ポンポンくらい何とも思わないだろう。
これが浮気だ、なんて柊ちゃんに言われると何故かショック。
私が好きなのは柊ちゃんなのに!!