とりあえず電話をしてみるけれど、


「…出るわけないよね。」



いくらコールが鳴っても柊ちゃんが出ることは無かった。まあ普段から出てくれないんだけどね。



もう家に帰っちゃったのかな?



「メル〜どうしよう〜。」



柊ちゃんとあんな風に喧嘩してしまったのは初めてかもしれない。



とりあえず柊ちゃんが歩いて行った方向を辿ろうと、道を歩く。



なんでもういつもこんなに空回りしちゃうんだろう。



「あ、」



そんなことを考えながら公園に目をやると、見慣れた背中が街灯に照らされている。





ベンチに座って寒そうに体をさすっている。




その背中に声をかけるか迷いながら静かに音を立てないように近づく。






そーっと、そーっと。









「わんっ!」



「こら、メルっ!」






「…なにやってんの。」



驚いた顔で振り返った柊ちゃん。

…バレてしまった。