「…お前なんで何も話さねぇんだよ。いつもうるさいくせに。」



静寂を破ったのは不機嫌な声。



「っ、あ、うんごめんね!なんかこんな静かで気持ち悪いよね!」



いつも通りの笑顔でへらっと笑ってみせるが、柊ちゃんはそれが作り笑いなんてことすぐに分かって、また顔を歪ませる。






「なな!!」






柊ちゃんより明るく高い声が背後から聞こえて、振り返る。



「あ、千歳先輩!」


私がそう声をかけると嬉しそうに大きく手を振る千歳先輩。



千歳先輩とは私より一つ上の大学四年生で、サークルの先輩である。ゆるくかかったパーマに、あま〜い笑顔、で女子をきゃーきゃー言わす、王子様だ。






もうそれはそれはモテモテ。…柊ちゃんほどではないけどね。



確か先輩も私の家の近所に住んでるんだったっけな。