柊ちゃんからすれば私はただのうるさい幼馴染なんだよね。
ねえ、私分かってるんだよ?
柊ちゃんはねねのことが好きなんだよね。
ねねはどうなのかわからないけど、性格も良くて、顔も可愛くて、スポーツも出来て、友達も多い。そんなねねの隣にずっと居続ける理由なんて一つでしょ?
「なな。」
柊ちゃんに名前を呼ばれてぎゅうっと胸が締め付けられる。
無意識に唇をかみしめる。
顔をあげれば少し怒っているような柊ちゃんの顔。
「返事もできねぇの?」
怒ってる。私はすぐに柊ちゃんを怒らせる達人かもしれない。いつも苛つかせて、いつも不機嫌にさせている。
「…うん。メルの散歩だよね。分かった行ってくるね。」
メルとはうちの家で飼っている、ポメラニアンの犬のこと。
もうこの空間にいることが辛くて、柊ちゃんの顔を見れなくて、俯いたまま立ち上がる。



