柊ちゃんは昔からねねには特別優しくて、私には特別冷たい。
まあ慣れたって言えば慣れたんだけどやっぱり辛いよね。
「え、なな？…うん、うちにいるよ？」
微笑みながら電話をする彼は、私のことを横目でチラッと見てねねに答える。
「ああ、そうなんだ。分かった。伝えておくね。」
…なんて丁寧で、王子様なんだ。私とは全く正反対の対応。もう心なんてとっくの昔にズタズタである。
どうやらねねが私に何か伝えて欲しかったようだ。
でもそれだけで電話は終わらなくて、
「あはは！そうなんだ！ええ、松原先生が？それは面白いね。」
ねねの話がそんなにも面白かったのか目に涙をためて笑う柊くん。
電話の向こうからはねねの楽しそうな声がもれてくる。
