「でね〜、その日さ〜」
柊ちゃんの部屋で私は止まること無く口を動かし続ける。
柊ちゃんは私の話なんて聞く耳も持たず、ベッドの上でひたすらスマホのゲームに夢中である。
…別にいつものことだからいいんだけどね。
すると柊ちゃんのスマホから何やらアップテンポな曲が流れる。それはどうやら着信音のようで、誰から電話が来たみたい。
「ちょっと黙ってて。」
そういうと画面を指でスライドさせて電話に出る柊ちゃん。
「もしもし、どうしたの?ねね。」
私に対する声より、随分優しい声。表情まで優しくなって、穏やかな顔をする。
その声にズンと胸が重くなる。
どうやら電話の相手は私の妹のようだ。
柊ちゃんとねねは同じ高校に通っていて同じクラスらしくすごく仲がいい。美男美女で二人並んで歩いていれば、カップルに間違えられるだろう。