MAKIDAIは、楓のセミナーの終了時間を見計らって電話をする。

「もしもし、楓さん。MAKIDAIです」

…「はい、楓です」

「今、どこにいます?」

…「えっと、恵比寿の会場を出たとこです。」

「じゃあ、車回すんでそこで待ってて下さい」

…「はい、ありがとうございます」

MAKIDAIは、電話を切る。

「はい、工藤ちゃん、恵比寿までよろしく」

「了解」

楓より少し早くに前の仕事が終わっていたMAKIDAI達は、会場の近くで待機していた。

すぐ車で移動する。

「あ、楓さんが言ってたのあのビルだね」

そう言って、工藤はビルの入口近くに車を寄せた。

MAKIDAIは、身を乗り出して楓の姿を探す。

「あ、いたいた」

少し窓を開けて、声を掛ける。

「楓さんっ」

楓は、声のする方を見た。

(あ、MAKIDAIさんっ)

楓は、慌てて荷物を持ち車に駆け寄ると、ドアが空いて、中でMAKIDAIがニコニコして待っていた。

「お疲れ様」

MAKIDAIは、スーツケースを受け取り楓を車に招き入れた。

「ありがとうございます」

「寒くなかった?大丈夫?」

「はい、全然大丈夫です」

楓が落ち着いてイスに座ると車が動き出した。

「疲れてない?こんな時間にすいません」

MAKIDAIは、楓の心配ばかりしている。

「はい、大丈夫です。」

楓は、笑顔で答える。

「そっか、よかった。じゃあ、いこうか」

メールでは毎日やりとりをしているが、会うのは3週間ぶりだ。

相変わらず楓は、ドキドキしている。